中小政党がキャスティングボートを握らない比例代表制を妄想してみた。
民主党も受け入れられられそうな比例代表制ってないんかと思ってたらふと浮かんだ制度。
主な性質
1番目と3番目が矛盾してるけど、まぁ気にしないでくれ。
投票のやりかた
- 投票者は、政党単位で投票を行う。
- 投票者は、立候補した政党に、いいと思う順番に数字で順位づけを行う*2。
議席配分の仕方
A,B、C、Dの4つの党があり、それぞれの支持者は、次のように政党を順位付けしたとする。
支持する政党 | 得票率 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 |
A党支持者 | 40% | A党 | C党 | B党 | D党 |
B党支持者 | 30% | B党 | D党 | C党 | A党 |
C党支持者 | 20% | C党 | A党 | B党 | D党 |
D党支持者 | 10% | D党 | B党 | C党 | A党 |
普通の比例代表では、この得票率に応じて議席を配分するけど、この場合どこの党も単独過半数取れてないので、中小政党がキャスティングボートを握るってのが民主党にとって気に食わないらしいので、第1党に過半数を取らせるための操作を行います。
まず全ての党が過半数を得ていないことを確認します。どこか一つ得てる党があったら何もしないで議席を比例配分します。で、どこの党も過半数を取れてない場合は、順位1位に投票されてる数が一番少ない党の票、この場合、D党支持者の党を、別の党に移譲します。この場合、D党支持者の順位2位はB党なので、票はB島に移動します。つまりこうなる。
支持する政党 | 得票率 | 1位 | 2位 | 3位 | 合計得票率 |
A党支持者 | 40% | A党 | C党 | B党 | 40% |
B党支持者 | 30% | B党 | C党 | A党 | 40% |
C党支持者 | 20% | C党 | A党 | B党 | 20% |
D党支持者 | 10% | B党 | C党 | A党 | - |
これが移譲です。これでもまだどこも過半数が取れてないので、次に少ないC党支持者の票を移譲します。
支持する政党 | 得票率 | 1位 | 2位 | 合計得票率 |
A党支持者 | 40% | A党 | B党 | 60% |
B党支持者 | 30% | B党 | A党 | 40% |
C党支持者 | 20% | A党 | B党 | - |
D党支持者 | 10% | B党 | A党 | - |
性質の確認
- 第1党が過半数を取ることが保障される。
第1党が過半数を取るまで移譲を行うんだから保証されてます。
- ほぼ全ての票が何らかの形で議席に貢献する。
D党支持者の票はB党の議席に貢献。C党支持者の票はA党の議席に貢献してます。一番目当ての政党の議席には貢献できてないけど、D党支持者にとっては、A党よりB党のほうがマシ、C党支持者にとっては、B党よりA党のほうがマシ。という民意には従ってる。
- 投票に比例して議席が得られる
A党の議席数は、A党支持者+C党支持者の数に比例。B党の議席数は、B党支持者+D党支持者の数に比例。いちおう比例。たぶん比例。
- 泡沫政党の乱立が起きない。
移譲は、得票数が少ない党から順に行われるので、泡沫政党の支持者の票は移譲されて議席には反映されません。立候補段階で乱立するかどうかは知らん。
で、大体こういうのは
大抵誰かがすでにアイデア思いついてて、「あーダメダメこういうのにはこういう欠点があるってもう議論が尽くされてるから」と返ってくるというオチがつくものだ。だってこれ、実際に使われてる「単記移譲式投票」と「比例代表制」をただくっつけただけなんだもの。だからこれは、妄想なのだ。提案じゃないの。
試算してみた
2000年の衆議院選挙の比例得票データで、こんなもんかと適当に各党支持者ごとに順位付けして移譲してみたら、自民と民主と公明の3党だけしか残らなかった。他の党への票は全部この3党へ移譲された。やっぱこうなるかなぁ。
泡沫政党は当選の見込みがほとんどないから、大政党への集約が行われる。
おとなしく集約してくれるならいいんだけども。