地球史上最初の環境破壊

生命は38億年前にはすでに誕生していたとされています。生命の誕生や、最初の生命がどんな物だったのかはよくわかっていません。現在いるもっとも単純な生物の原核生物、その中の2大系統である真正細菌古細菌か、その中間的なものなのか、まったく別の物なのかもしれません。生命が生まれてから現在までの期間の、およそ半分は、この細菌が地球を埋め尽くしていました。彼らが増殖する能力を得ると、海に溶け込んだ栄養を片っ端から吸収しながら増え続けます。同時に変異も繰り返し、種類もどんどん増えてゆきます。そして、海中の栄養が枯渇すると飢餓状態になり、一気に数を減らします。その際、より強い種が生き残り、栄養が回復したとき、その数をまた増やす。それを繰り返して、進化が進んでゆくのです。そんななか、20数億年前、藍藻類とよばれる細菌が誕生します。彼らは、海中の二酸化炭素と、太陽の光を使って無尽蔵に栄養を作り出すことができました。彼らはどんどん増え続け、二酸化炭素を酸素に変えてゆきました。海中の二酸化炭素がなくなると、大気中の二酸化炭素が海中に溶かし込まれる速度が早くなります。そして大気中の二酸化炭素がどんどん消費されてゆきます。二酸化炭素が減ると、それまで二酸化炭素が担ってきた温室効果が弱まってゆき、地球の気温がどんどん下がってきます。そしてついには、赤道まで分厚い氷に覆われ、地球は巨大な氷玉になったのです。これは全球凍結と呼ばれています。この段階では生物は海底火山などの熱源のそばでしか生育できません。その厳しい環境で生き残った強い種だけが、それを乗り切り、進化のリレーを渡すことができるのです。ちなみに氷玉になった地球ですが、この後しばらくすると火山活動によってマグマ中の二酸化炭素が大気に放出され、温室効果が復活し、すべて溶けきったとされています。