みんなで渡れば怖くない

われわれ人間につながる真核生物の系譜は、古細菌の系譜から分岐したらしいことがわかっています。生命は誕生から、世代を経るごとにわずかに変異、多様化してゆき、より環境にあった物が生き残という進化を繰り返してきたと考えられています。しかし、古細菌から真核生物への進化はより複雑な過程を経たらしいと考えられています。古細菌から真核生物が分岐した後、真核生物の細胞の中に、真正細菌が入り込んだというのです。ほとんどの真核生物の細胞の中には、ミトコンドリアと呼ばれる、酸素をエネルギーに変える役割を持った細胞小器官を持っていますが、このミトコンドリアは、もともとまったく別の、酸素をエネルギーにして活動できる真正細菌だったのが、細胞の中に取り込まれ、真核生物の一部になってしまったらしいのです。また、植物が持つ葉緑体も同じように藍藻類を起源に持つといわれています。このようにして、真核生物は細胞を高機能化させ、後の多細胞生物化への布石を敷いたのです。